「マーケティング」と聞くと、
商品やサービスを売る方法、売るための手段というイメージがある方が多いかもしれません。
マーケティングはわかりやすく言うと、「商品が売れる仕組みをつくる」ことになります。
つまり、マーケティングの本質は「売らない」ということです。
近年ではマーケティングの様々な手法が生まれています。
今回はマーケティングの基本から、
近年加速するデジタルマーケティング、WEBマーケティングについて解説します。
マーケティングとは「売らない」こと
経営学者のピーター・ドラッカーは、
「マーケティングとは”販売”を不要にすることである」と述べています。
また、同じく経営学者のフィリップ・コトラーは、
「マーケティングと販売は、ほとんど正反対ともいえる活動」と述べています。
両氏ともに、マーケティングと「販売」は別で、逆とも言っています。
「買ってください!」と、売るための努力をするのではなく、
勝手に売れていく仕組みを作ることがマーケティングということになります。
マーケティングのフレームワーク
マーケティングには基本を押さえたフレームワークがあります。
フレームワークに沿って実行することで再現性の高い手法が取れるでしょう。
マーケティング戦略の立案・実行は以下のステップがあります。
- マーケティング環境の分析・機会の発見
→SWOT分析・3C分析 - セグメンテーション(市場の細分化)
→STP分析 - ターゲティング(市場の決定)
→STP分析
- ポジショニング(市場での立ち位置・立ち回り)
→STP分析
- マーケティング・ミックス
→4P分析 - マーケティング戦略実行・評価
KSFを見つけ出す
KSFとは「Key Success Factor」の略で、日本語では「主要成功要因」となります。
自社の商品・サービスの業界で成功するには、どうすればいいのかを導き出すカギとなり、
事業の戦略を立てる際に使われるマーケティング用語です。
市場の動向や競合他社、顧客ニーズなどの外部環境と、
自社商品・サービスの強み、設備や資金力などの内部環境を分析することで、
どのようなマーケティングを行うのかを決定する指標となります。
例えば、
化粧品メーカーは、ブランディングに力を入れ認知度を上げることがKSFになります。
コンビニであれば商品の多さもKSFとなります。
また、KSFは外部環境によって変わります。
例えば、自社の強みとして、良質な物を市場平均よりも安く売ることができる場合、
安く買うことを好む地域に出店すればKSFとなります。
しかし、
多少高くても良いものを買いたいという地域に出店した場合には、
市場とマッチしていないため売れる見込みは低く、KSFとはなりません。
このように内的な要因と、外的な要因を見極めて、KSFを明確にする必要があります。
そのための手法として、3C分析があります。
3C分析で市場と自社を分析する
3C分析とは、マーケティングの環境分析のフレームワークです。
3Cとは、「Customer・Competiter・Company」を意味します。
分析は下記の順番で行いましょう。
1.Customer 市場・顧客
商品やサービスの顧客を想定し分析します。
分析の例は以下の通りです。
-
- 市場にどのような顧客層がいて、どのようなニーズがあるのか?
- 市場規模はどのくらいか?
- 市場の成長性はどうか?
経済動向や政治などの社会全体環境から、
参入する業界の動向も含めて分析を行うことで、より精度の高い分析を行うことができます。
2.Competitor 競合
業界の競合他社の商品・サービスの内容と、その特徴について分析していきます。
分析の例は以下の通りです。
-
- 競合はどの企業か?
- 競合の強み・弱みは何か?
- 競合がカバーできていないニーズはあるか?
競合他社について詳細に調査するほど、マーケティングの精度が上がります。
例えば、資金・人材といった情報も分析の項目に追加しましょう。
3.Company 自社
自社の強みや弱みなど、現状を把握し市場で戦う武器は何かを分析しましょう。
分析の例は以下の通りです。
-
- 自社の強み・弱みは何か?
- 自社の商品・サービスで顧客ニーズに対応可能か?
- 競合他社と比べて劣っている点は何か?
自社の商品・サービスが市場においてどの程度のレベルにあるのか、
独自性・技術力・売上シェアなどの要素を整理しましょう。
現状でニーズに対応できているのか、競合他社に比べて足りていない点は何かなど、
自社を分析しましょう。
SWOT分析で自社を知る
マーケティングプランを詳細に作るためには、自社の状況を知る必要があります。
自社の事業を分析する際には「SWOT分析」を行います。
SWOTは、「Strengths・Weaknesses・Opportunities・Threats」の頭文字をとった用語です。
- Strengths:強み・内的要因
- Weaknesses:弱み・内的要因
- Opportunities:機会・外的要因
- Threats:脅威・外的要因
これらの4つの要素を総合的に分析することで、自社の特徴を捉えることができます。
Strengths(ストレングス・強み)
自社の商品・サービスが、競合に比べて優位に立てる点を把握しましょう。
また、商品・サービスの内容だけでなく、企業の知名度や、資源、資金などの点も含めて分析しましょう。
自社の強みが把握できたら、その強みをどのように活かすのか、
強みをさらに大きくするのはどうすれば良いかという視点を持ちましょう。
Weaknesses(ウィークネス・弱み)
目標を達成するうえで障害となることを分析しましょう。
競合他社と比較して劣る点を確認していきます。
商品の価格・品質、人材不足・企業価値といった点においても分析の対象とします。
自社の弱みを明確にできているからこそ、市場での戦い方が見えてきます。
Opportunities(オポチュニティーズ・機会)
政治・経済状況の変化、市場動向を把握しましょう。
自社のチャンスとなるような要素は何なのかを整理し、どのような機会を掴みにいくのかを明確にしておきましょう。
実際にチャンスが訪れた時に、すぐに行動に移れるようにしてきましょう。
Threats(スレット・脅威)
目標達成の障害となる、外的要因を整理しましょう。
自社にとってどのような状態が脅威となるのかを明確にし、経済動向や社会問題などに目を配りましょう。
STP分析で戦略を明確に
市場で行うべき戦略を明確にするために、使用の全体像を把握し、
どの市場を狙うのか、競合他社との関係性を分析するための手法です。
STPは「Segmentation・Targeting・Positioning」の頭文字をとった用語です。
- Segmentation:市場の細分化
- Targeting:市場の決定
- Positioning:自社の立ち位置
各手法を見ていきましょう。
Segmentation(セグメンテーション・市場の細分化)
市場には多くの顧客が点在しています。
その顧客を「ニーズ」でグループ化することを指します。
なるべく多くの顧客に支持される商品・サービスを作ろうとすると、
どの顧客にも支持されないという事態が起きます。
市場をニーズというフィルターで細分化しておき、次の段階であるTargetingに繋げます。
Targeting(ターゲティング・市場の決定)
Segmentationでグループ分けした中から、自社が狙うべきグループを決定します。
自社商品・サービスの強みに魅力を感じてくれる=ニーズがあるグループを選択しましょう。
マーケティングの極意は売れる仕組みを作ることですから、
売れる可能性の高い市場を選択し決定することは重要な要素です。
Positioning(ポジショニング・自社の立ち位置)
Targetingで決定した市場での、自社の立ち位置を明確にしましょう。
商品・サービスの特徴を踏まえて、顧客に対してどのように打ち出すのかを決定しましょう。
選択した市場が「安さ」にニーズがあるのであれば、「業界最安値!」というような訴求を行う必要があります。これは、もちろん自社の商品・サービスの実態に即していなければなりません。
4P分析で戦略を立てる
狙う市場と、立ち位置が決定したら、
次は「どのような商品・サービスを、どのくらいの価格で売るか」「どのように顧客へアピールするか」「どのような流通経路で提供するか」などの具体的な戦略を立て、実行していきます。
戦略の実行にあたりその内容を決定するために4P分析を行います。
4Pは「Product・Price・Place・Promotion」の頭文字を取ったのもです。
- Product:製品
- Price:価格
- Place:流通
- Promotion:販売促進
Product(プロダクト・製品)
重要なポイントは、「市場の顧客のニーズをどのように満たすのか」です。
ニーズのない商品・サービスは、押し売りか詐欺以外の行為で売れるはずがなく、売れたとしても維持的なものです。
Productを考える際には、3C分析から導き出した市場、顧客、競合と自社の関係について把握してから分析を進めましょう。
Price(プライス・価格)
Productが決定したら、次にPriceを決めましょう。
顧客のニーズに合わない価格を設定してしまうと、Productは売れません。
また、「安ければいい」というわけではなく、クオリティーとのバランスが良い、納得感のある設定が必要です。
Place(流通)
Priceが決定したら、どのようにProductを顧客に提供するのか=Place(流通)の方法を考えましょう。
自社の実店舗での販売、コンビニやショッピングモールなどに販売委託をする、ネットで販売するなど、
どのように販売し、顧客に届けるのかを検討します。
Promotion(販売促進)
Product、Price、Placeが決定したら、市場に認知してもらうためのPromotion(販売促進)を検討します。
テレビCMや広告が代表的な方法でしたが、近年ではSNSを活用する方法が重要視されています。
ターゲットとなる顧客の性質にあった手法でPromotionを行いましょう。
Webマーケティング
Webマーケティングとはデジタルマーケティングの一部で、
自社の運用するブログやコラムといったオウンドメディア、Web広告などに顧客の流入を狙い、
商品やサービスの販売を促進します。
Webマーケティングの手法
主なWebマーケティングの手法は以下になります。
- SEO
- アクセス解析
- コンテンツマーケティング
- Eメールマーケティング
- SNSマーケティング
- Web広告
SEO
SEOはSearch Engine Optimizationの略で、「検索エンジン最適化」を意味します。
検索エンジンで特定のキーワードで検索した時に、自社サイトが上位に表示されるようにする施作です。
上位表示されることで自社サイトにアクセスしてもらう確率が上がり、
商品やサービスの認知アップや、購買につなげます。
検索結果の順位の決定はGoogleの評価に基づきます。
自社でオウンドメディアを運用し、そのコンテンツを充実させてユーザーにとって有益なもの提供し続けることで評価が上がっていきます。
また、サイト内の文章もSEOを意識したライティングなどを行う必要があります。
詳しくは下記の記事もご参考にご覧ください。
SEO対策とは?:
https://web-design-pro.com/blog/news-column-post/357
SEOを意識したライティング:
https://web-design-pro.com/blog/news-column-post/351
アクセス解析
アクセス解析を行うことで、オウンドメディアへの流入するの最大化を狙います。
アクセス解析からユーザーの動向を分析し、
オウンドメディアの改善点を見つけて改善していくことが重要です。
アクセス解析にはGoogleが提供するツール「Googleアナリティクス」を活用しましょう。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、ユーザーにとって有益な情報発信やコンテンツを蓄積していき、
自社の商品やサービスの認知を広めていく手法です。
オウンドメディアはコンテンツマーケティングのひとつで、
ユーザーとの継続な接点を持つためのツールとなります。
良質なコンテンツを提供でれば、ユーザーは何度もアクセスし、自社の商品やサービスに触れることになります。
ユーザーを自社のファンにしていくために、コンテンツマーケティングを取り入れ、
オウンドメディアのコンテンツを充実させていきましょう。
Eメールマーケティング
自社の保有する顧客リストをもとにメールを配信し、顧客への情報発信を行います。
その中でもメルマガは費用が安く抑えられることから、導入する企業が多い傾向にあります。
しかし、開封率が低く情報を発信しても受けとってもらえない問題点もあります。
SNSマーケティング
SNSマーケティングとは、SNSを活用したマーケティング手法です。
SNSで自社の商品やサービスの情報を発信し販売促進を狙います。
企業のアカウントを作成しSNSを運用することで、
顧客との接点がうまれコメントなどを通じてコミュケーションをとることができます。
ファンの獲得にも繋がります。
また、若い世代は検索エンジンでの検索よりも、SNS検索で情報を得ることが多い傾向にあります。
Web広告
Web広告は詳細なターゲティングが可能で、効果測定もしやすく費用対効果の高い広告です。
また、広告の反応を見ながら、出稿期間中にキーワードを編集することも可能で、非常に自由度が高い点も魅力的です。
一定期間の継続的な運用を前提に、ターゲットやキーワードの整理をしておくと良いでしょう。
デジタルマーケティング
デジタルマーケティングとは、上記で解説したWebマーケティングを含む、
オンライン上のデータ・顧客との接点を活用したマーケティングです。
デジタルマーケティングの手法
主流となるデジタルマーケティングの手法は以下になります。
- ビッグデータ分析
- マルチデバイス対応
- 動画マーケティング
ビッグデータ分析
ビッグデータとは、非常に膨大な量のデータのことです。
インターネットやSNS、センサーなど多種多様なところから収集されます。
ビッグデータ分析とは、これらの大量のデータから分析の対象となる情報を抽出し、
意思決定や予測、戦略の決定に活用する手法です。
ビッグデータは膨大で、多種多様な形式のデータが高速に生成される特徴を持っています。
そのため、人間が手動で分析するということは困難であり、機械学習やAIといった技術を活用し分析が行われます。
活用例としては、以下のようなことが挙げられます。
顧客の購買データを分析し、商品の売れ行きの予測、今度のマーケティング戦略の決定をする。
SNSの投稿データを分析し、社会の動向、人々の意見、トレンドなどを把握する。
マルチデバイス対応
自社HPやオウンドメディアのマルチデバイス対応は必須となっています。
スマホでのサイト閲覧、SNS利用は当たり前の時代です。
SNSを活用したマーケティングを行うのであれば、スマホ対応のWEBサイトは必須となります。
現代では、マルチデバイス対応は大前提となっているといっても良いでしょう。
動画マーケティング
動画マーケティングはYouTubeに代表される動画メディアを活用したメーケティング手法です。
YouTubeだけでなく、Facebook、InstagramなどのSNSにおいても、動画を使った広告は広がっています。
商品の魅力を伝える方法として動画は、訴求性が高く非常に有用です。
まとめ
マーケティングのフレームワーク、Webマーケティング・デジタルマーケティングについて解説しました。
マーケティングの原点は「売らないこと」です。
売れる仕組み作ることがマーケティングです。
その仕組みの作り方はさまざまなフレームワークを活用することで見えてきました。
デジタル技術を最大限に活用し効率的で費用対効果の高いマーケティングを行なっていきましょう。